【STORY 野本大智】本格ブレイクが期待される生え抜き選手
2020-21シーズンの途中に特別指定選手としてレイクスにやってきた野本大智は、現メンバーの中で最も在籍期間が長い選手である。高い身体能力を生かしたハッスルプレーに加え、一般入試で筑波大学に合格した明晰な頭脳も彼の持ち味。B1リーグ復帰へのキーマンの一人だ。
野本がバスケットを始めたのは小学5年生から。実は4年生からミニバスに入る予定だったそうだが「体育館の前まで行ったけれど、怖気付いて中に入れず。1年後に入団しました」という。少し引っ込み思案な少年だったようだ。
高校進学の際は、群馬の強豪2校のうち偏差値の高い高崎高校を選んだ。理由は「中学の先生や両親が望んだ」から。バスケットは大好きだが、バスケットが全てではない、そんな青年だった。高校3年時にインターハイ出場を果たしたものの、推薦ではなく一般入試で国立の筑波大学に進学しているのも野本らしいエピソードだろう。当時の目標はプロ選手ではなく「体育の先生になること」だった。
転機は大学3年生の時に訪れた。高い身体能力と戦術理解力を備えた野本は大学1年からAチームのメンバーに選ばれ、3年生の全日本インカレでは主力選手として全国制覇に貢献。
「もちろん、優勝できたことだけが理由ではないですが、あの全日本インカレの後からプロを意識するようになりました」。
肉体改造に取り組み、テクニックや戦術眼を磨いた。そして大学4年生の時にレイクスの特別指定選手となる。彼のバスケット人生は大きく動き出した。
Bリーグデビューは2021年1月23日のサンロッカーズ渋谷戦。「チーム戦術を全て理解できていたわけではない」という状況の中で、持ち前のハッスルプレーでショーン・デニス元HC(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズHC)のハートをつかんだ。
翌日のGAME2ではプロ初得点もマークし、Bリーグを代表するPGのベンドラメ礼生とも堂々と渡り合い、レイクスブースターのハートを鷲づかみにする。
そして翌節の琉球ゴールデンキングス戦ではスタメンに抜擢された。最終的には出場29試合中11試合でスタメンを飾り、161得点(1試合平均5.6得点)という特別指定選手らしからぬ高い数字をマークした。
強烈なインパクトを残した野本は、ルイス・ギル元HC体制に移行した2021-22シーズンも50試合に出場し29試合でスタメンを飾った。2021年11月の島根スサノオマジック戦では日本代表の安藤誓哉を苦しめ、22年5月の信州ブレイブウォリアーズ戦ではキャリアハイの18得点をマーク。上々のルーキーイヤーを過ごした。
3年目の昨シーズンではさらなる飛躍が期待されたが、同じポジションに日本代表のテーブス海が入ったことでプレータイムが激減してしまう。出場機会を与えられた場面ではアグレッシブな守備や泥臭いプレーでアピールを重ねたが、B2降格が決まった最終戦、5月7日の京都ハンナリーズ戦の出場時間はわずか15秒。何もできないまま、チームの落日を見守るしかなかった。
不甲斐ないを乗り越えて迎える今シーズンは脇役に甘んじるつもりはない。持ち味のアグレッシブな守備はもちろん、オフェンスでも存在感を放ち、味わった悔しさの全てをぶつけるつもりだ。
「特別指定で入ってきて、チームの移り変わりを見てきた。僕らもしてきたけど、ブースターさんの方がすごく悔しい思いをしているなというのが僕の印象。本当に〝こんなに嬉しいことがあるんだ〟と思ってもらいたい。それが達成できるように全身全霊で僕もぶつかっていく」
プレシーズンゲーム、天皇杯では果敢にリングへアタックし、得点を重ねる野本の姿が戻ってきた。
レイクス生え抜きの再ブレイクがB1リーグ復帰のカギを握っている。
野本大智
DAICHI NOMOTO
背番号:16
ポジション:PG
身長/体重:183cm/80kg
生年月日:1998年6月25日
出身地:群馬県高崎市
経歴/Career
群馬県立高崎高-筑波大
2020- 滋賀レイクスターズ/滋賀レイクス