【データコラム vol.4】勝敗を分ける要素は?スタッツからレイクス勝利の鍵を探る
滋賀レイクスでは2022-23シーズン、データスタジアム株式会社のアナリストによる、データに着目をしたコラム連載企画を実施しています。
滋賀レイクスはB1残留に向けて負けられない戦いが続いています。今季はリーグ戦の勝率下位2チームがB2へ自動降格となるが、降格圏内のチームはゲーム差がかなり詰まっており、ここからの試合は1試合の結果が大きな意味を持ちます。
第4回のコラムでは、レイクスの今季の勝敗別チームスタッツを読み解いていく。勝利した試合ではどの項目が良い数字で、負けた試合ではどの項目の数字が伸び悩んでいるかを見ることで、今後の勝利の鍵となる要素を探っていきます。
※記録は2023年3月20日時点。
勝敗を分けるのはオフェンスかディフェンスか
まずは、オフェンスの出来とディフェンスの出来のどちらで勝敗が分かれているかを見ていく。
勝利した試合と敗戦した試合のオフェンス/ディフェンスレーティングを比較すると、当然勝利した試合の方がどちらも良い数字となっているが、オフェンスレーティングの差が23.7に対し、ディフェンスレーティングの差が-6.4。オフェンスレーティングの差の方が大きくなっている。
このデータから、レイクスはディフェンス以上にオフェンスが好調な試合で勝利しているという傾向が見えてくる。
ちなみに、勝利時のオフェンスレーティングが118.9という数字は非常に高く、現在オフェンスレーティングがリーグトップの千葉ジェッツの118.6をも上回る数値だ。
オフェンス面で差が大きい要素
次に、勝利時はオフェンスの中でどの要素が良いのかをブレイクダウンして探るため、Four Factors (※)という指標を見ていく。
Four Factorsはディーン・オリバー氏が提唱したオフェンスを評価するための指標で、オフェンスをシュート・リバウンド・ターンオーバー・フリースローに分類して評価するものだ。
※Four Factorsの詳細な説明や計算式は下記サイトを参照
https://www.sportsanalyticslab.com/column/basketball-mathematics.html
この指標を勝敗別で見ると、差の大きさが目立つのはシュートを評価するeFG%と、リバウンドを評価するORB%。
3/20時点でeFG%はリーグベストのチームが55.5%、リーグワーストのチームが48.3%という数字となっており、これと比較してもレイクスの勝利時55.4%と敗戦時47.0%という数字は非常に大きな差であることが分かる。
ORB%についても、勝利時の34.0%はおおよそリーグトップ3を狙える数字に対し、敗戦時の27.4%はリーグワースト3クラスの数字となっており、こちらもかなり差が大きい。
シュートを高確率で決められるか、オフェンスリバウンドで優位に立てるかは、今後の勝敗を占ううえでも重要になってくるだろう。
エリア別シュート成功率
差が大きかったeFG%についてさらに深掘りするため、各エリア別のシュート成功率を比較すると、最も差が大きいのは3P成功率。
eFG%の差の大部分は、3P成功率の差によるものと言えるような状況だ。勝利時は3Pが45.5%と非常に高確率で決まっており、アウトサイドから高確率で決めることが勝利のためには不可欠となっている。
チームの3P成功率を上げるためには、いかに良い形でシューターにシュートを打たせるかが重要。チーム全体でボールを動かし、オープンショットの割合を増やしていくことが、今後の勝利のためには確実に必要となってくるだろう。
ディフェンス面で差が大きい要素
続いて、ディフェンス面で勝敗を分けている要素を探るため、レイクスの対戦相手チームの勝敗別Four Factorsを見ていく。
相手チームの数字のため、TOV%以外については低く抑えられている方がレイクスのディフェンスが良いことを意味する、という点に注意が必要だ。
オフェンスと比べると、大きな差が出ている項目は少ないが、その中で最も差が大きいのが TOV% だ。勝利した試合では相手がターンオーバーをする確率が高いということが表れており、レイクスが強度の高いディフェンスを仕掛け、相手から多くのターンオーバーを引き出すことができたか否かが勝敗を分けていると言えそうだ。
相手のターンオーバー後はディフェンスが整い切る前に攻め込むチャンスも多いため、相手のTOV%が上がれば、オフェンスへの相乗効果も期待できる。引き続きハードなディフェンスは徹底していきたいところだ。
ターンオーバー数で相手を下回ることも重要
勝敗別Four Factorsの中でTOV%はレイクス・相手チーム共に±3%程度の差が出ていたが、ターンオーバー数を相手チームより少なく抑えることも勝利の鍵と言えそうだ。
今季勝利した6試合全てで、レイクスのターンオーバー数が相手を下回っている。
しっかりとボールをケアして、自分達のターンオーバーを減らし、ハードなディフェンスで相手のターンオーバーを増やすことを徹底していきたい。
ここまでレイクスの勝敗別スタッツを分析してきた内容をまとめると、レイクスはディフェンス以上にオフェンスの出来が勝敗を左右する傾向が強い、オフェンス面では3P成功率とオフェンスリバウンド、ディフェンス面では相手のターンオーバーの影響が大きく、特に相手よりターンオーバー数を少なく抑えられるかが勝敗を占ううえで重要、ということが見えてきた。
これらのデータを踏まえながら、残留に向けて大事な試合が続くレイクスの戦いを見守っていきたい。
(文:データスタジアム株式会社 バスケットボールアナリスト 柳鳥亮)